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住みながらのリノベーション。手を加えるごとに、家族が成長する住まい

北向きの斜面地にある、広い庭とコンパクトな住居からなる甲斐さん一家の住まい。10年ほどのローンで購入した手頃な中古物件での暮らしを楽しみながら、1つずつ改修を重ねています。

overview

居住者構成 4人 | 以前の住まい 生駒市 | 居住開始 2012年 | 木造・2階建て | 敷地面積 278m² | 延床面積 80m² | 建築 1971年

profile

宮崎県生まれの甲斐俊也(としや)さんと島根県生まれの亜紀子さんは、就職先の大阪で出会いました。デザイナー、作業療法士として働きながら、2人の子どもと暮らしています。

物件購入の決め手は「庭」

「丘」「台」とつく地名が20以上もあるように、坂道が多く、起伏に富んだ地形が続く生駒市。生駒駅から徒歩圏内にありながら、生駒山の夜景を1人占めできるテラスつきの家に、甲斐さん一家は暮らしています。

結婚当時から生駒市に住んでいた俊也さんと亜紀子さん。2014年に2人目の子どもが生まれ、賃貸のマンションが手狭になったことを機に、中古物件の購入を検討しました。俊也さんの希望は、庭のある暮らしでした。

「庭つきのマンションを始め、いくつかの物件を提案したけれど、なかなか決まらなかったんですね」と振り返る亜紀子さん。

そこへ、親交のあった生駒市在住の建築士・伊阪洋さんから内見に誘われました。「甲斐さんが好きそうな、面白い物件が出たよ」。

一体どんな物件だろう?期待を胸に案内されたのは、住宅街の一角にある北向きの斜面地でした。

敷地には2階建ての木造住宅と、それを囲むようにサツキやツツジの咲き乱れる庭が広がっていました。俊也さんは花々に心踊らせ、たわわに実をつけたレモンに一目惚れ。翌月には、購入を決めたのです。

「この庭があれば、色々できそうだな、と。家族で小屋をつくれるかもしれないし、夏には自家製のレモンスカッシュが飲めるかもしれない。妄想は膨らみましたね」

手頃な物件価格も、庭が決め手という思い切った物件選びをあと押ししました。家の改修は、建築士の伊阪さんとともに進めました。

広い庭に比べると、住居はコンパクトなつくりでした。そこでキッチン・リビング・バスルームがある2階には、半透明のドアや大きな引き戸を採用。空間に広々とした印象を演出しました。子どもたちが大きくなるまでは、リビングにダイニングテーブルを据え置くことも見送りました。おかげで、無垢のフローリング材を用いたリビングは、のびのびと遊びやすい空間になりました。

俊也さんは、家づくりをこう話します。

「初めて家を持つ僕らにとって、ちょうどよい選択だったと思います。すでに建物があるからこそ、『リビングではこう過ごしたい』とイメージを膨らませることができたんですね」

背伸びしない住まいが生んだ変化

新築購入、賃貸などの選択肢の中から、中古物件購入に決めた理由を、俊也さんにたずねました。

「家は、家族が暮らしをより楽しむための投資ともいえます。計画をしっかり立てているわけじゃないけど、旅をするように生きていけたらいいなって。だからこそ、35年ローンを組んで身動きが取れなくなるのは嫌でした。持家にして10年ローンを組むぐらいがちょうどよかったんです。この先、生まれ育ったまちに帰ったり、外国で暮らしたりする選択もあっていいと思って」

背伸びしすぎることなく、住まいを決めた甲斐さん一家。一歩ずつ、等身大の暮らしを育んでいます。

住み始めた当時は「きれいなマンションがなつかしい」と話していた娘さんも、今では「ヤモリってかわいいね」と庭で遊び、カブトムシのお墓をつくり、家族旅行のお土産であるブルーベリーの木を育てるように。豊かな庭の植物や生きものが、子どもたちの感性を育みます。

また、俊也さんは以前から興味があった「森」と「自然」に関するデザインの依頼が増えました。生駒市の環境フェスティバルや、奈良県内の森を舞台にしたイベントのフライヤー制作を通して、自身の興味を一層深めています。

ずっと未完成の我が家

この家に引っ越した2014年の秋は、まだ改修中の状態。玄関からリビングへのドアや、和室への引き戸がありませんでした。実は、住んで6年目を迎える今も「未完成」が散らばっています。

「みんなでつくる庭の小屋にはドアがなかったり、今年になってようやくカーポートを設置したり。永遠に完成しない家かなあ(笑)」と、亜紀子さん。

カーポート設置などの大がかりな工事はプロに依頼しますが、壁の塗り替えといった小さな改修は、自分たちでコツコツと。俊也さんは「未経験にも関わらず『エイヤッ』と始めることができました。これもまた、中古の持家ならではの魅力でした」と振り返ります。

絵を描くのが大好きという娘さんは、お気に入りのポストカードを自分の部屋に飾るため、マグネットボードを探しましたが、なかなかよい商品が見つかりません。そこで、DIYの余り材であったベニヤ板に好みの色のマグネット塗料を塗ると、世界にたった1つのボードができました。

「お父さん、次は引き戸も替えたいな。今年こそ、庭の小屋を仕上げたいね」

一緒に手を動かすことで、家族の距離も一層近づきます。1つ手を加えては、また次へ。背伸びしすぎることなく、自然体で。家とともに家族の成長していく姿が、生駒にありました。

(2019.12.24)

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