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住まい選びは暮らしを見つめ直すいい機会。考え方を変えてくれたマイホーム

想定していたよりも大きな中古物件を購入し、リノベーションして4人で暮らす金井さん一家。住まい選びを機に暮らしへの考え方を変え、 春から新生活が始まります。

overview

居住者構成 4人 | 以前の住まい 生駒市 | 居住開始 2023年 | 木造 | 敷地面積 287.57m² | 延床面積 159.48m² | 建築 1988年

profile

生駒市出身の金井亮さんと、大阪市出身の宝さん。亮さんは一級建築士で『and design株式会社 』の代表取締役社長を務めています。小学1年生、3年生の子どもたち、ワンちゃんと暮らしています。

あえて中古物件を選び、リノベーション

近鉄けいはんな線・学研北生駒駅の南東部にある生駒市真弓。生駒市と奈良市を結ぶならやま大通りを中心に、閑静な住宅街が広がっています。近隣には大きな公園などもあり、暮らしやすい環境です。

2023年3月、近隣の地域から真弓に引っ越したばかりの、金井さん一家。和風の外観が特徴の住まいです。

一級建築士として設計を仕事にしている亮さんは、マイホームの購入を検討したとき、はじめは新築を考えていました。

「総予算から『新築は頑張ればいける』とは思ったんです。でも、中古物件を買ってリノベーションするほうが、新築より1000万円ほど抑えられると仕事柄分かっていました。そうすれば、余った予算を内装や家具に回せます。あとは、環境面も気になりました。既存のもの、つまり建具などをできるだけ残し住み継ぐことこそが、一番エコになると考えたんです」と、亮さん。

一方、宝さんの希望は、同じ校区内で引っ越すこと。「子どもは小学校で友達ができて『学校が変わるなら引っ越したくない』と言っていたので、校区を変えないというのが第1条件でした」と話します。

生駒市に住み続けることは亮さんの希望でもありました。それは、実家があるからだけではなかったそう。「生駒は都会へのアクセスがいい便利なところなのに、自然が豊かで、実は住まいの価格相場が都会よりも安い。これらは大きな魅力です」。

2017年から亮さんと生駒市に住み始めた宝さんも、「都会のような混雑や息苦しさがなく、暮らしやすい。子育て制度も充実していて育児もしやすいので、楽しいですね」と、生駒市での暮らしを好んでいます。

2021年秋から探し始めたものの、良い物件はなかなか見つかりませんでした。そこで一度中断し、2022年2月に家探しを再開すると、1ヶ月ほどで良い物件に出会いました。それが今回紹介する住まいです。

「時間をかけて探そうとは思っていなくて、数ヶ月で見つかるところがご縁だろう、と。その期間でベストやなって思う物件があれば決めようと話したんです」と亮さんが言うと、宝さんも「私も長く迷うのがそんなに好きじゃないので」と教えてくれました。

前の所有者が住んでいたため、住まいの中を見ることはできませんでしたが、図面や「検査済証」があったこと、土地価格、立地から、即決したのだそうです。

あるものを活かすという、プロの目利きと技

以前から和風建築が好きだという二人。「畳や縁側などに日本らしさや文化を感じますし、歴史のあるものも好きで以前から憧れていました」と、亮さん。和風建築の家に住むのは初めてだそうです。

リノベーションの設計担当はもちろん亮さんです。宝さんはもともと和風だったこの住まいを見て「旅館のような佇まいにしてほしい」と希望しました。

どのようにリノベーション計画を進めたのかを聞くと、「実は、イメージしていたよりも大きな家だったので、1階から2階までフルリノベーションするのは予算的に難しいと思いました。どこを改修して、どこをあきらめるか。そこは夫婦で話し合いました」と、亮さんは話します。

結果として1階を中心にリノベーションし、外構は1台分だった駐車場を2台分に拡張することに。

性能面では、滞在時間の長いLDKエリアをメインに局所断熱をしました。その手法の一つが、なんと窓を減らすこと。昭和期の建物は窓が多いことが特徴で、それが寒さの原因になっているからです。外から見れば窓は残っているのですが、内側では壁にして断熱しました。また、廃材を出さないよう解体を最小限にし、元の床の上に新たな床を張ることで断熱性能を上げるなど、プロの技が光ります。

玄関から続く広い土間を指して「ここはあえて贅沢につくった余白のスペースです。もともと敷地内にあった風合いの良い石を活用してステップにし、雰囲気を崩さないよう靴棚は室内に設置しました」と、亮さん。まさに旅館のようなゆとりのある空間になりました。

玄関から見える客間の和室と庭が、心を和ませます。「客間の奥は私のワーキングスペースになっていて、生活空間との境界もあります」と、亮さんが案内します。

広いLDKには、夫妻のこだわりがつまっています。

「開放的な空間を確保するため、端にある柱は残して、中央部にあった柱を抜きました」と亮さんが言うと、宝さんは「私は、リビングの柱は全部なくせればベストだと思ったんですが、耐震的に難しいと聞いて、納得しました」と話します。

「もともとは耐震等級1で、震度6~7の地震で倒壊はしないという水準ですが、柱を抜いたので、残した古い柱を金属で補強しました。その新旧の柱のつながりを、あえてそのまま見せています」と、亮さん。

LDKでもう一つ印象的なのが、キッチンです。「妻からオーダーされたのは、『憧れのドイツ製食洗機の導入』だけ。これまで食器洗いはずっと手洗いでした」と、亮さん。

ドイツ製食洗機は本来高さのある特殊な食洗機ですが、亮さんが工夫し、宝さんの身長に合ったキッチンが完成したそうです。タイルは、宝さんが石張りっぽく大きいものを選びました。

また、パントリーの中に食器棚のほか、冷蔵庫やゴミ箱などの生活感の出るものをおさめたり、ワンちゃんのトイレを生活感が出ないように特設したりして、LDKをスッキリと見せるようにしています。

「この大きさの家をどう楽しもうか」と前向きに

亮さんは、改めてリノベーションをこう振り返ります。「ミニマムな暮らしで十分だったので、想定していたよりも大きい家でどういう風に暮らすか、悩みました。この大きさの家をどう楽しむか。家に合わせて暮らしのほうをこれから変えていくつもりです」。

「暮らしのほうを変える」ことの代表が、広い庭でした。「これまでの家にも庭はありませんし、庭を造るなんて、当初思ってもいなかったんですよ」と亮さんは話しますが、あるものを前向きにとらえたのです。「天然芝はワンちゃんの体に負担がないだろうし、草刈りという不便さを楽しもう」と考え、一部に天然芝を敷き、和風の庭園に整えました。

こだわりたいところには注力した一方で、草刈りなど想定外のことも受け入れた、金井さん一家。リノベーションは、ただ単に住みやすく、きれいにするだけではなく、住まう人の考え方を変えてくれる機会なのだと感じるようになったそうです。

「せっかくお庭ができましたし、夫はバーベキュー好きなんで、張り切って買ったバーベキューコンロでみんなで楽しみたいです」と笑う、宝さん。ワンちゃんが天然芝の上を駆け回り、その傍らで家族や友人とバーベキューを楽しむ休日が、きっともうすぐやってくるのでしょう。

(2023.03.29)

いいサイクルはじめよう、いこまではじめよう

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