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中古マンションをフルリノベーション。夫婦の夢を実現する快適な住まい

中古マンションを購入し、間取りを大きく変更して4人で住まう松田さん一家。デザインと整理収納のプロという夫婦が追求した、住みやすい空間です。

overview

居住者構成 4人 | 以前の住まい 大阪市 | 居住開始 2017年 | 鉄筋コンクリート造 | 延床面積 74.19㎡ | 建築 1999年

profile

生駒市出身の松田淳司さんと、香芝市出身の愛さん。淳司さんはイラストレーター、愛さんは整理収納アドバイザーとして、二人ともフリーランスで活動中。5歳と2歳の子どもとの4人で暮らしています。

中古マンションを購入し、回遊動線にリノベーション

今回紹介するのは、生駒駅から徒歩約10分のところにあるマンションに住まう松田さん一家です。

松田淳司さんと愛さんは以前、大阪市生野区に住み、それぞれデザイナーとして会社に勤めていました。そのため住まいを購入しようとしたとき、当初は通勤しやすさから大阪市内の物件を検討したといいます。

「大阪市の物件は、築年数や平米数など何かを妥協しないと、当時20代の私たちに買える物件がなかなか見つからなかったんです」と、愛さん。長く住むからこそ妥協はしたくないなと思ったときに浮上したのが、生駒市に住まう案でした。

共に、奈良県出身の二人。「『奈良のどこかがいいね』という話になったとき、生駒が僕の地元だったので、『生駒はどうだろう』と。僕は中学生まで生駒で育って、親の仕事の都合で大阪へ引っ越したのですが、子ども時代を楽しく過ごした自然豊かなイメージが心に残っていました。それで『また住みたいな』と思ったんです」と、淳司さんは振り返ります。

生駒なら大阪の会社へも通うことができます。愛さんも「生駒なら自然豊かだし、窓から木々の緑が見える住まいがいいね」と賛成したそうです。

中古マンションを求めていた二人は、中古物件購入からリノベーションまでのサポートを行っている業者に依頼。内見に来たのが、現在住んでいるマンションの別物件でした。「周りの環境、マンションの管理状態などにひとめぼれして、『どうしてもここがいい!』と思いました」と、愛さん。

そんなとき、売り出す直前の物件として業者から教えられたのが、現在の住まい。角部屋で、窓から木々の緑も思いきり眺めることができる気持ちいい場所だったので、二人は決断し、2016年秋に購入しました。

当時の住人が2017年3月まで住む予定だったため、リノベーションの開始までに半年ほどの期間ができました。「その期間が、かえってありがたかったです。比較的ゆっくり検討できました」と、愛さん。

元の間取りは、玄関から伸びる廊下を軸に部屋を田の字のように配置した「田の字型間取り」でしたが、大きく変えることにしました。「専門知識は全くなかったんですが、子どもの頃から家づくりや間取りを見るのが好きだったんです。暮らしのアイデアや情報を収集したり考えたりするのが好きでした」と語る、愛さん。愛さんが中心になってベースとなる間取りのアイデアを考え、それを設計士が図面に落とし込んでいったのです。

「最近人気の間取りってありますし、はじめはそういうご提案をいただいたんですけど、他の人を真似したような暮らしだったら、私たちの場合はおもしろくないなって。自分たちならではの暮らしをつくるとき、こだわった間取りにしたくて、ご相談したら実際にできることになりました」と、愛さん。

そうやって決まった間取りが、回遊動線です。「玄関からリビングなどのプライベートスペースが見えるより、奥に何があるのか分からないほうがワクワクするかなと思ったんです。あえてLDKをちょっと隠すような配置にしていただき、思い切ってお風呂は移動させました」。笑顔でそう話す、愛さん。とても楽しそうで、住まいへの愛を感じます。

一方、淳司さんからの要望は「仕事をするスペースが欲しい」という一点だけでした。いずれ独立することを念頭に置いていたといいます。

2017年4月から業者が着工し、6月頃に完了して、7月から住み始めたそうです。

整理収納アドバイザーの資格を取得し、住まいの収納も変化

間取りは、玄関から廊下を一直線に抜けると、LDKに繋がるようになっています。愛さんは、この廊下に収納力を持たせました。読書好きの二人は大量に本を持っていたからです。

「ライブラリーを1部屋つくることも考えましたが、子ども部屋のほうが優先順位は高いなと思ったので、廊下自体を収納できるスペースにしようと思いました。一番よく通るところなので、本を取ったり戻したりしやすいな、と。今は本と日用品、子どものおもちゃを収納しています」と、愛さん。

そしてLDKへ入ると、存在感を放っているのは、対面式のキッチン台。大手メーカーのInstagramで知り、気に入って導入したものです。来客時などに対面で作業ができることや、3口コンロが並列で、あまり身長が高くない愛さんでも料理がしやすそうだと感じたこと、心地いいデザインなどが気に入ったそうです。

キッチンのタイルや壁紙などは、複数のメーカーのショールームを週末ごとに二人でまわって、気になる商品のサンプルを取り寄せ、設計士に相談して決めていきました。

回遊動線によって、クローゼットを含む寝室の出入り口が2箇所でき、利便性が高まりました。「クローゼットにはオンシーズンとオフシーズンのものを分け、よく使う衣類や上着などを取りやすいように配置しています。玄関から入ってすぐここに上着をかけに来たり、そのまま通り抜けてトイレに行けるので使いやすいです」と、愛さん。

建具は、既存の玄関の靴箱を利用し、ミラー扉のクローゼットや衣類用PPケース、本棚を自ら用意しました。さらに、寝室の出入り口やリビングに扉を設けず、必要最低限にしたことが、コスト削減につながったといいます。

大阪に通勤していた淳司さんは、2019年に独立。玄関からすぐの土間を仕事部屋にして、仕事を始めました。愛さんはその年に一人目を出産し、家にいることが多くなった淳司さんと一緒に子育てをスタートできたのです。

愛さんは一人目の育児休暇中に整理収納の勉強を始め、復帰後の2021年に整理収納アドバイザー1級を取得しました。資格取得後は、ロジカルに考えてものの場所をつくるようになったそうです。

「何がどこにあるか把握でき、同じようなものを買うことや『セールだから買っておこう』といった衝動買いがなくなって、暮らしの無駄がなくなったんです。好きなことに時間が使えるようになって、整理されたことで家事の負担も減りました。それまでは『全部頑張らないと』と力んでしんどくなっていたんですが、それがなくなって、このすばらしさを人に伝えたいと思うようになったんです」と、愛さん。

愛さんは2022年、「暮らしにまつわる仕事がしたい。自分が本当にやりたいことでお役に立てるなら、1回やってみよう」と、整理収納アドバイザーとして独立。二人目の出産後、2023年から本格的に活動を始めました。

大好きな「住まいや暮らし」にまつわる情報を発信

小さな子どもが二人いるため、柔軟に設置場所や収納場所は変えて暮らしています。その代表格が、LDKから離れた土間につくっていた淳司さんの仕事部屋を、リビングの奥へ移動させたこと。

「最初は、仕事とプライベートの空間は分けたいなって思っていたんです。でも、土日に家で仕事をするとき、長男が『見て、見て!』とつくったものを見せに来てくれたり、呼ばれたりすると、土間とLDKを往復する形になってしまって、けっこう大変だと分かりました」と、苦笑する淳司さん。愛さんにそれを相談すると、愛さんはリビングの奥に仕事スペースをつくろうと提案したのです。

「今は、作業をしながら子どもの様子を見ることができるようになりました。例えば、子どもがちょっと危ないことをしていたらすぐに『やめときや』と言えます」と、淳司さんは使い勝手の良さを語ります。リビングに生活感が出ないよう、カーテンをつけて工夫しているそうです。

働き方や家族構成が変わるたびに、空間の使い方を工夫してきた住まい。「子どもたちが大きくなったら、土間を息子の部屋に、寝室は2分割して半分を娘の部屋にできれば」と考えているそうです。

現在、愛さんはインテリア&収納計画サービスのほか、自宅ルームツアーなども毎月行っています。住まいや暮らしをより楽しむ人が、二人の身近でもっと増えていくのでしょう。

(2025.01.23)


いいサイクルはじめよう、いこまではじめよう

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