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好きなことを仕事にし、自宅を工房に

自分が本当にやりたいことと向き合い、働くことを見つめ直したシュガークリエイターのYu.(ゆう)さん。現在は自宅兼ショールーム・工房という形で、大好きなことを仕事にしています。Yu.さんの起業ストーリーについてお聞きしました。

Yu.さん

生駒市出身。大学卒業後、日本酒醸造所勤務を経て製菓の専門学校へ。現在はシュガーアートとスイーツのお店『Sweets Labo kasi』を営み、販売会やレッスンなどを行う。生駒のアンテナショップ『おちやせん』でも販売しているほか、生駒市のふるさと納税の返礼品にも。生駒山麓太鼓保存会副会長。

お客様の記念日などにつくる「シュガーアート」

「シュガーアート」について教えてください。

シュガーアートとは、砂糖でつくるアート作品です。ご覧いただいた方に砂糖でできている意外性を感じてもらえたらいいなと思ってつくっています。

砂糖、卵白、増粘剤というチューイングガムの成分の3つの材料を混ぜ合わせて粘土状にしてから、食用色素を入れて練り込み、お花や動物などを形づくります。主材は食べられるものですが、芯や土台にワイヤー、発砲スチロールを使うことが多いので、基本的に飾るものです。

商品には、シュガーアートのほかに焼き菓子、生ケーキもあります。「食べる前提でシュガーアートを」とオーダーをいただいたときは、パウンドケーキで土台をつくり、シュガーアートでデコレーションをしています。

シュガーアートでどんな作品をつくっているのですか。

お祝いごとや記念日、お友達へのギフトが多いです。具体的には、結婚式のウェルカムボード、誕生記念のベビーシューズ、五月人形やひなまつり人形など。結婚記念であれば、お二人の馴れ初めや思い出について聞いたり、お人柄などをイメージしたりしながら、その方に合わせてつくります。お客様の幸せな一面に立ち会えるのはうれしいですね。

会社を辞めて専門学校に通い、生駒で起業

今の仕事を目指した経緯は?

子どもの頃から、母がテーブルセッティングをしてお茶を淹れるティータイムが好きだったんです。お出かけでティールームに連れて行ってもらったときにも、背筋が伸びるような大人っぽい空間が心地よく、「いつかこういう空間をつくりたい」と思っていました。

ものづくりが好きで大学卒業後は日本酒醸造所に就職しましたが、体調を崩して勤務にドクターストップがかかり、「自分は何がしたいのか」と振り返りました。それで私が心から好きなのは、ティールームの空間やお菓子だ!と思い直したんです。会社を辞めて製菓の専門学校に入り、2012年春に卒業して製菓衛生師試験を受け、受かりました。

その後はパティスリーで働いていましたが、同年6月に転機が訪れました。親友が結婚することになり、何かスイーツでお祝いをつくりたいと思ったけれど、生ケーキだと溶けてしまう。そこで見つけたのが、シュガーアートでした。

そのときに初めてつくったのですね。

はい。食べるものをつくる技術がクラフトづくりに活かせるし、温度変化に強く、長期保存ができるところもおもしろいなと思って、見様見真似で始めてみました。

あらゆる色に着色でき、動物や花などいろいろなモチーフをつくれるので、スイーツの世界よりも自由度が高いところがとても楽しくて、おもしろくて。私のなかで何かがカチッとはまり「これを専門にしよう!」と思ったんです。

その後、シュガーアートの先生のもとで技術を修得し、フリーマーケットやイベントで販売を始めました。本格的に活動するためショールーム兼工房の場を持とうと考えて、2015年5月にオープンしたのが「Sweets Labo kasi」です。

自宅兼工房・店舗で、自分らしく伸び伸びと働く

オープン前や後で、ご苦労はありましたか。

まずは物件探しに苦労しました。通勤時間やアクセス、賃料はもちろん、一人でできる小規模なスペース、食品の営業許可を取るための改装が許されることも条件にしたら、本当になくて(苦笑)。やるなら生まれ育った生駒がいいなと思い、両親に相談したら、自宅の昔祖父母が使っていた1階の空き部屋を「改装して使っていい」と言ってくれました。

そこで、和室とリビングダイニングを改装して一部屋にし、ショールームスペースと作業やレッスンができるテーブルのスペースに。厨房はカウンターキッチンだったところを、営業許可を取るルールのため、扉と壁をつけて独立させました。

住宅街にあるので、店舗に抵抗のある近隣の方がいるかもしれませんし、オープンしてすぐに看板を立てるのは控えました。はじめのうちは、お菓子をたくさん用意してイベントを開催しても、誰も来なかった日もありましたよ(笑)。地道に活動して、口コミでじわじわと広がっていきました。お客様に接して、反応がダイレクトに返ってくるので、やりがいがあります。少しずつ近隣のご理解をいただき、5年目でようやく看板を出し、今に至っています。

自宅兼工房・店舗というワークスタイルに憧れている人に、アドバイスはありますか。

階段を下りただけで職場があり、自分のペースで朝から晩まで没頭してつくれる自由さは、メリットですね。オン・オフの切り替えは難しく、制作意欲とは裏腹に体が疲れてしまうこともありますけど(笑)。同居している家族がいるので、プライバシーの確保のため住所はオープンにせず、予約制で営業しています。

私の場合は、あるシェフの「やりたいことは『いつか』じゃなくて、すぐやらなあかん。形にしていかないとこれ以上前には進めない」という言葉に背中を押してもらい、覚悟を決めました。外注できる資金はないので、商品の撮影、パンフレットやラベルの制作、ウェブショップ運営も自分でやっています。「どう始めたらいいかわからない」というところからのスタートでしたが、なんとかマイペースに前に進んではいます。

これからつくってみたいものはありますか。

最近力を入れているのは、奈良をイメージしたシュガーアートです。鹿や、生駒の花である菊、生駒で盛んにつくられている茶筌などをモチーフに、奈良の華やかな側面も伝えていきたいですね。シュガーアートを通じて、奈良や生駒に注目してもらえたらいいなと思っています。お客様には、日常空間に花を飾るような感覚で、シュガーアートを気軽に楽しんでもらえたらうれしいです。

(2021.11.30)

シュガーアートの奈良シリーズ作品「万華」。生活空間を彩るインテリアにおすすめです。

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