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地域に「居場所になる空間」を

2019年9月、生駒市真弓に『nijiiro *cafe』がオープンしました。飲食のできるお店でありながら、何も買わずに立ち寄るだけでもいいコミュニティカフェでもあります。そのオーナーが、髙橋祐子さん。思いやりと行動力にあふれた女性で、地域の人たちからも慕われています。髙橋さんの芯にある想いについて、うかがいました。

髙橋祐子さん

『nijiiro *cafe(にじいろ*かふぇ)』オーナー、野菜ソムリエ、ヨガのインストラクター。奈良県生駒市生まれ。『nijiiro *cafe』ではオーガニック食材を使ったメニューを提供している。
https://nijiirocafe.com/

素敵な関係性が地域で広がっていった

以前は、養護教諭をされていたそうですね。

はい、保健室の先生を4年間していました。体調不良のときだけでなくふだんの子どもたちに接することができて、その健康に配慮できる仕事だから、養護教諭になりたいと思ったんです。
「教室には行きづらいけど、保健室ではホッとする」「保健室があるからなんとか通学できる」という子どもに毎年出会い、“場所”の大切さを痛感しました。実はこの気持ちが、今回のカフェの開店につながっています。

その後、夫の転勤で2011年に東京へ引っ越しました。仕事は好きでしたが、子どもが小さく、働き続けるのは難しかったんです。ほとんど自宅にいるようになったら、夫の帰宅が夜遅く、母子だけで毎日にこやかに食卓を囲めなくて……。近所の八百屋さんで話したら、「うちの『こども食堂』に来たら?」と誘われました。

「こども食堂」は、低価格で親子に食事を提供するところですね。

八百屋さんが主催する「こども食堂」は育児に疲れたお母さんと子どもが気軽に利用できる雰囲気で、そこに通ってうちの子たちは大きくなりました。実はわたし、「こども食堂」を自分でもやりたいと思って、いきなり自宅で始めたんです(笑)。

月に一度の開催で、3年やりました。おかわり自由・持ち帰りOKで、誰が来てもいい。「こども食堂」で顔見知りになって、外でバッタリ会ったときにも話ができるような素敵な関係性が、地域の人たちの間で広がっていくのを感じていました。

このときの経験を生かして、オープンした『nijiiro *cafe』では、塾に行く子どものための弁当「塾弁」を販売しています。

生駒市真弓という地域だからこその空間

地元である生駒にはいつ戻ったのですか?

2018年4月です。月に一度の活動では元気になれない人もいるので「“場所”がほしい、自分のお店を開きたい!」と思うようになったことがきっかけでした。

わたしは子どものときから奈良が大好き。「心がホッとする奈良の空気のなかで子育てをしたい」という気持ちがあって、「地元の生駒でお店を開こう!」と決めました。夫も奈良出身で、同じく奈良が大好きですが、仕事の都合でわたしが先に子ども3人を連れて帰郷することになったんです。

どのようなお店をイメージしたのでしょう。

カフェであり、テイクアウトもできるお弁当屋でもあり、気軽に立ち寄れる空間です。子どもだけで来てもいいし、何も買わなくてもいい。イメージは“地域の保健室”。

でも物件が見つからず、途方に暮れていたところ、整形外科医の父が大阪で20年ほどやっていたクリニックを生駒市真弓に移転することになって、「2階を使わないか」と提案されました。

一度は断ったんです、一緒にやると甘えが出るから。でも、当面は一人で子育てをするので、実家が近いこの地域は理想だなと思い直して(笑)。閑静な住宅街と言われている地域だからこその空間になっていくだろうと感じ、クリニックとは別経営で銀行の融資をうけて開店準備を進め、ついにオープンしました。

みんなが「自分の空間」だと思えるように

『nijiiro *cafe』には子どもから大人まで、いろいろな人が訪れますね。

ランチを食べに来たりテイクアウトをしたりする大人の方が中心ですが、子どもが一人で来て宿題をしたり、友達と遊んだり。このまえは自宅から鍋を持ってお弁当を買いに来たおばあちゃんが「ここに詰めて」って言うんです。一般的なカフェではないのかも(笑)。

また、『自然農園 ほのぼ〜の』さんなど生駒のオーガニック農家を応援したくて、お店で使う野菜を仕入れるほか、野菜の販売も行っています。実は東京時代、野菜ソムリエの資格を生かして自宅で料理教室もしていて、生徒さんを対象に奈良産の野菜を販売していました。

スタッフのみなさんが楽しそうに働いているのも印象的でした。

スタッフは30代からシニアの方まで、あえて幅広い年齢層を集めました。さまざまな人と出会える“場所”になったらいいな、と。わたしのほかに11人いて、子育て中の人も短時間で働けるようにしています。子どもの体調不良などで休まないといけないときには、ヘルプを出せば他のスタッフがシフトを補う仕組み。「働きやすい」と好評です。

スタッフはわたしの想いを理解したうえで、意見をたくさん出してくれました。「子どもたちが呼びやすいように、スタッフは平仮名の名札をつけましょう」「エプロンの色は統一したらどうですか」とか。そんな主体的な雰囲気を願っていたので、感動しました。

ここがお客さんやスタッフみんなにとって、“自分の場所”になってくれたらうれしいです。ありのままの自分で、今自分がしたいことをしに来てくださいね。

(2019.11.22)

いいサイクルはじめよう、いこまではじめよう

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