まちの「これから」を共に楽しむ。はちみつで繋がる緩やかな出会い
生駒駅の南側。ぴっくり通りを抜けた先に、奈良県産を中心としたはちみつの販売やはちみつを使ったドリンク、フードを楽しめるカフェがあります。一度生まれ育った生駒を離れ戻ってきた今、県外に出て知った地元の魅力を伝える伊勢悠(いせはるか)さん。お店をオープンされるまでと今後について、お話を聞きました。
伊勢悠さん
生駒市出身。福岡で日本語教師を経験。コロナ禍を機に転職をした、はちみつを販売する店舗兼カフェでの勤務を経て、「E135°42'N34°41' honey&cafe(イコマハニーアンドカフェ)」を2024年4月にオープン。大好きなはちみつ本来の味を知ってもらうため、何度も試作を重ねて完成したしっとり食感のスコーンは、オープン当初からのおすすめ。
県外で知ったはちみつの魅力、地元「生駒」でもっと知ってもらいたい
「はちみつ」をメインにしたお店をはじめたきっかけを教えてください。
大学卒業までを生駒で過ごし、「誰も知らない場所でゼロから社会人をスタートしたい」という想いから福岡で就職を決め、一人暮らしをはじめました。その後、コロナ禍で転職を考えることになったとき、福岡の人の生活にははちみつがとても身近に感じられていることに気づきました。私自身がはちみつを好きだったこともあり、はちみつを販売する仕事へ就くことにしました。
仕事として勉強をする中、ミツバチを育ててはちみつなどを収穫する「養蜂」が奈良にゆかりがあることを知り、もっとたくさんの人に広めたいと思ったんです。そこから自分のお店を持ってみたいと思うようになりました。
はじめから生駒でお店を持つことを考えていたのですか?
関西に帰ることを決めたときに、兵庫や京都にも行き下調べをしました。ですが、奈良が養蜂にゆかりのある場所、ということが私の頭の中にはずっとあって。「やっぱり奈良で」と考えた時、おのずと場所は地元の「生駒」でやりたいとなりました。就職して外に出るまではあれほど県外に出たいと思っていましたが、この時はすごく自然な流れで考えました。
20代での開業。背中をおしてくれたのは
お一人での開業、どんなことから始めてみたのでしょうか?
友人や同年代の知り合いにお店や会社を経営している方がいなかったので、まずは奈良県の「よろず支援拠点」へ相談に行きました。
私自身が思っていることや困っていることなどを全部紙に書き出して、「まったく何も分かりません」とお伝えするところからスタート。チェックリストを作成し、やることを明確にして、時には厳しいことも言っていただきながら一つずつ解決していきました。
そこから約半年間は毎週のように通い続け、並行して調べていた生駒市の開業を応援する補助金制度に申請したり、店の内装をDIYしたりすることにしました。
準備が大変な中、心が折れそうになることはなかったですか?
金銭面やはちみつの仕入れなどで苦戦したときに、折れそうになることはもちろんありました。それでも立ち止まらなかったのは、家族の言葉が大きかったのだと思います。
ーこれからライフイベントによって動けなくなることもある。リスクを背負って挑戦できるうちにできることはやっておいた方がいいー
私の「やりたいと思ったらすぐやりたい」性格とも相まって、進み続けることができました。
緩やかに繋がり、広がる
オープンから約2年、伊勢さんやお客さまにとってお店はどのような存在になっていますか?
様々な年代の方が出会って、生駒で「新しい何か」を始める方が集う場所になっています。
オープン当初はとにかく「自分の大好きなはちみつの魅力を伝えたい!」と必死でした。ですが、今は単にはちみつを売るだけの場所ではなくなっているなと感じています。
カウンター席でたまたま隣り合わせたお客さん同士が、「あ、グッドサイクルいこまに出てた人だ!」と繋がったり、同年代で起業を目指す方がここで意見交換やプチ相談会を始めたり。そんなやりとりを見ていると、その熱量やアイデアに刺激をもらい生駒が「おもしろいまち」だと感じて、私自身大好きになりました。
お店を始めてみるまで出会わなかった、生駒の「おもろい人たち」がどんどんこの店に集まってきてくれる。こどものころは「刺激がないまちだ」なんて思っていた時期もありましたが、今はここから新しい何かが生まれる瞬間を特等席で見守っているような感覚です。
伊勢さんとお店の今後について聞かせてください。
まずはこのお店を長く続けていくこと。そしてよりたくさんの種類のはちみつを並べたいです。実は今、異常気象の影響もあって蜂たちも夏バテしているんです。国産の天然はちみつは採れる量が減っていて、そんな状況でも奈良や生駒の養蜂家さんたちが守っている「天然はちみつの味」をもっと知ってほしい。 来店のたびにまた違う種類のはちみつに出会えるというワクワク感をもっと作っていきたいです。
ほかにも、この生駒駅南側の地域がもっと活性化して欲しいとも思っています。歴史や古い建物の良さを活かしながら、おもしろい感性を持った個人店が増えて、歩いているだけで新しい発見があるようなまち。そうして人々が緩やかに繋がって、新しいチャレンジがどんどん生まれる。私のお店がその「きっかけの場所」であり続けられたら最高だと思います。
(2026.3.4)
ライター:いこまち宣伝部10期生 nono/カメラマン:いこまち宣伝部10期生 まほ
店内には奈良県産を中心としたはちみつのほか、期間限定で販売する季節のスコーンに出会えることも。
WRITER nono
学生時代から父の転勤で長野や兵庫で生活。就職を機に家族とともに生駒へ。 市外からの帰り、生駒駅へ降り立つたび「ホッ」とする安心感をまちや人々の空気感から感じる、そんな生駒が大好きです。(いこまち宣伝部10期生)
PHOTOGRAPHER まほ
奈良県橿原市出身。2022年からアクセスの良さと自然に惹かれて生駒に住みはじめる。穏やかで親切な人が多く、人を通して生駒のまちが好きに。Webデザイナーとしてフリーランスで活動中。(いこまち宣伝部10期生)








