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小瀬の宿場町で300年以上続く醸造元

菊司醸造株式会社

菊司醸造株式会社は、生駒にある3つの醸造元の1つ。大阪と奈良を結ぶ暗越奈良街道の宿場町として栄えた小瀬町で、江戸時代の1705年の創業より300年以上も酒造りを続けています。機械を一切使わず、手作業で圧力をじっくりかけながらしぼって作られる日本酒は、辛口が特徴です。

敬意をもって酒づくりの難しさと向き合う

「生きものである酵母があって、思い通りにならないのが酒造り。300年以上続く中で、時代や杜氏によっても味わいが変わってきます」と代表取締役で杜氏の駒井大さんは話します。収穫年によって、原料となるお米の状態が異なったり、季節や気温によって水の状態が違ったり。辛口ですっきりしたお酒をつくるために、素材を理解して向き合うことが大切だそうです。「どのお酒も口に合うか合わないかはありますが、決して美味しくないのは一つとしてありません」と酒造りに敬意を表しています。

手間を惜しまず、こだわりの工程で

今では1年中、日本酒が楽しめますが、本来は冬の季節が本番。酒づくりの工程で重要な発酵には、一定の低温期間が必要とされ、11月から3月の間、1カ月半ほどかけて仕込み、醪(もろみ)、しぼりの工程を進めていきます。冬の気温で発酵具合が変わるため、難しい温度管理も、杜氏の研ぎ澄まされた技術で、味わいや深みを引き出します。特に冬の新酒は、仕上がった直後のとがった感じが段々と丸くなり、口当たりが良くなります。

季節を感じながら、たしなむ

店頭には菊司、くらがり越え、往馬といった日本酒が並ぶだけでなく、奈良漬けなども販売しており、店内では試飲コーナーもあります。また、酒造りの過程でできる「酒かす」で作るかす汁が美味しいと人気で、店内に置いてもすぐに売り切れてしまうほど。
季節ごとに味わいや深みなどは異なる日本酒。「食中酒である日本酒は、食事の邪魔にならずに、気がつけば、盃が空いているのが一番いい」と話します。米作りの風景や山から流れる川の水を大切にしてきた日本人だからこそ、辛口や甘口だけでなく、まろやかさや渋みなどの複雑さと優しさのある日本酒を作ることができるのだと思いました。

(2023.3.9)

  • 菊司醸造株式会社
    生駒市小瀬町555番地
    0743-77-8005
    平日9:00~17:00 日祝10:00~16:00
  • https://kikutsukasa.pro/

WRITER 磯部良和

東大阪市出身。2000年から生駒市在住。平日は公務員。つながりを大切にする生駒の人たちの少しでも役に立ちたいと思い、写真ボランティアをしています。登山写真や自然写真を撮り続けており、水に関わる仕事に就いたことで水資源を探求する活動を始めました。心穏やかなになる瞬間を表現したいです。いこまち宣伝部7期生。

心地よい暮らし、温かな人、おいしいお店、みんなで楽しめるイベント…。
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