すべては“感謝”の気持ちから

2013年にオープンした美容室「kiitos」。店名はフィンランド語で「感謝」を表しています。「みんな、一人では生きていけなくて、支え合って日々過ごしていますよね」とスタイリストの川村埜歩子さん。
看護師のお客さまから「患者さんの髪の毛をカットしてあげたい」と聞くと、病院で出張カットをしたり、長野県・千曲川が決壊したときには、ボランティアとして被災地へ行ったりしました。お店を通常通り営業しながらも、スタッフを送りだせる美容室です。美容師以前に、人として、思いやりと感謝の気持ちを大切にし、カタチにしたいという想いをスタッフ全員で共有できているんですね。

居心地のいい場所でありたい

スタッフの一人が独立しようか悩んでいた時も、「いつでも、ここに居場所があるから」と、送り出し、今も互いに支えあっています。
「子育てや仕事で毎日慌ただしく過ごしている人たちが、ここに来たら気持ちよく過ごせる場所でありたい」とオーナーの安原由博さんは話します。

私がこのお店の常連になったきっかけは、このように「相手のことを想ってくれる接客」があったからです。

カットだけじゃない、つないでいく

「力になりたいドナーの想いと、届けた髪の毛を喜んでくれる子どもたちの力になれたら」と病気で闘う子ども達にウィッグを贈る「ヘアドネーション賛同サロン」としても活動しています。寄付をしたい方は市内だけでなく多方面から来店されるようです。

また、地域の人たちがつながる、きっかけの場にしたいと始めたマルシェ「kiitos marketti（キートス・マルケッティ）」は、こま市とのコラボ企画。撮影会や、アクセサリー・雑貨販売など定休日を活用して不定期で開催しています。

「日々の暮らしに感謝し、できることがあれば何かしたいと思っている人は、お客さまの中にもおられると思うんです。どうやって巻き込んでいけば、いいですかね」と笑顔で私たちに逆取材する川村さん。

髪をカットするだけじゃない、縁をつないでいく美容室kiitos。
今後も目が離せません。

（2020.3.25)