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【レポート】いこまちマーケット部vol.02

9月10日(日)、「いこまちマーケット部(以下、マーケット部)」2回目の講座を開催しました。
冒頭に講師の鈴木美央さんから、前回の講座を経てマーケット部で大切にしたいこととして、

一人ひとりの個が自由でいられるのがマーケットの魅力であり、マーケットに型はない。

が追加されました。

ワークショップなど人前で話すときは、ついつい正解を求めて言葉を選んでしまいますが、正解も間違いもないので何を話しても大丈夫。一人ひとりが自分でいられることを講座でも大切にしたいと考えていることを共有しました。

まず、前回の講座を振り返り感想を出し合います。

「お釣りがネギだったというエピソードが印象に残りました。一度にたくさん収穫できる野菜を分け合える場所があればいいなと思う」という意見には、「マーケットや市(いち)は、余剰を交換する場として始まりました。地域の需要と供給がつながる場があればいいですね」と鈴木さん。

他にも
・海外の自由なマーケットに憧れるが、日本のマーケットは買いやすい
・主催者目線と参加者目線での違い
・儲けだけを追求するわけじゃない活動は聞いていて優しい気持ちになった
・マーケットは「戦略的なゆるさ」が魅力
といった多くの意見がでました。

幸せな買い物について考えてみよう

今回のメインテーマは、「幸せな買い物」「理想の買い物」を考えること。

・たまたま共通点が見つかって話が弾んだ出店者のモノを買うとき
・「いつものください」と言える常連感
・届いたときにご近所さんと集まって話ができる共同購入
・たこやきやさんで「1個おまけしておくわ」と言われたとき
・フリマアプリで買った参考書に、ティーバックと「時にはひと休みしてください」とい
うメッセージがついていたとき

「こういった買い物は、単なるお金とモノの交換じゃなくて関係性に価値を感じて支払っていますよね」と鈴木さん。「でも、僕たちはいつも顔が見えるコミュニケーションを欲しているわけじゃない。買い物にもオンとオフがあって、オフのときはテンションをあげなくていいことも心地いい」と講師の若狭健作さんが異なる見方を投げかけます。

・作り手のことを知って買ったワンピースは、着るたびに幸せが増幅する

「逆にストーリーがわからないと、劣悪な労働環境でつくられているものや環境破壊につながるものを買ってしまって、知らないうちに加担している危険性もある」と鈴木さん。

・お花を買ったときは、生活必需品ではないからこそ自分に余裕を感じられる
・社会福祉法人がつくるクッキーのように誰かを応援できる買い物
・地域にずっと残ってほしいお店での買い物

「買い物には、コスパがいいとか、得をしたという感覚とは別の幸せってありますよね。
自分の買い物が、永続的な関係につながっていくってうれしいですね」と若狭さん。

・効率重視ではないものに惹かれる

「地域で人気のパン屋さんに2店舗目の出店をすすめても、自分の手の届く範囲でやりたいからと断られたことがありました。効率や売上拡大とは違う価値観がある」と話す鈴木さんに、「僕たち消費者も、20円とか30円の違いに『損したくない』と思うこともあれば、普段よりちょっと高い金額を気持ちよく払えるときもありますよね」と若狭さんが応じました。

マーケットを「まちに必要なインフラ」と捉える

最後に鈴木さんからマーケットについてのミニ講座がありました。

私はマーケットを「にぎわい創出」といった曖昧なものではなくて、都市に必要なインフラ機能としてとらえています。

埼玉県志木市で開かれるYanasegawa Marketの出店者は30店舗位。このマーケットを分析すると、112万円の売り上げのうち54%が地域に残っていました。地域外出資のショッピングセンターが同額を売り上げた場合、地域に残るお金はその6分の1程度です。地域の関係性が濃密になっていけば、お金は地域で循環することを表しています。

屋外での活動には3つのタイプがあります。

必要活動 通勤や買物といった義務的で必要な活動
任意活動 散歩や日光浴など「したい気持ち」があって、条件があえばおこる活動
社会活動 あいさつや会話など複数の人と行う活動

任意活動や社会活動が多様におこる場所こそが豊かな場であるとされますが、埼玉県狭山市で道路を使ったマーケットを開いたところ「移動する」以外に、座る、佇む、製作する、写真を撮る、知らない⼈に話しかける、友達を作る…といった13の活動が生まれました。
このような活動が、コミュニティの促進やシビックプライドの醸成につながっていきます。

マーケット部では、おしゃれな雰囲気で記号化されて広まった「マルシェ」ではなく、生活に必要なモノとしての「マーケット」や「市(いち)」という言葉を使って、その意義や本質を考えたいと思っています。

次回は、生駒でどんなマーケットが必要なのかを考える予定です。

写真撮影:いこまち宣伝部6期生 中村京子

■これまでのマーケット部のレポート
1回目講座/好きなマーケットを伝え合おう

■マーケット部募集ページ
いこまちマーケット部、はじまります

■過去のマーケットに関する講座レポート
スタイリングウィーク2022「マーケットでまちを変える」

2023.09.15 UP

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