【レポート】いこまちマーケット部vol.01
9月3日(日)、生駒で暮らす喜びを感じられるマーケットをつくる「いこまちマーケット部(以下、マーケット部)」がスタートしました。
部員の皆さんといっしょに、令和6年3月24日(日)に開催予定のマーケットに向けて対話を重ねていきます。
多様な暮らし方が叶うまちを目指して
生駒市は、「大阪で働き、生駒に住む」というこれまでの暮らし方以外にも、生駒で遊んだり、楽しんだり、働いたり…といった多様なライフスタイルに対応したまちへの転換を進めています。これを叶える1つの方法として、マーケット部を企画しました。
このまちの日常が、ちょっと楽しく心豊かになる空間をみんなでつくりあげる予定です。
講師は3人。マーケット研究者の鈴木美央さん、広場研究者の山下裕子さん、都市計画プランナーの若狭健作さんです。
まず、鈴木さんからマーケット部で大切にしたい4つのことを共有されました。
まちは個の集合体。
「市民」とくくらず、一人ひとりの経験や思いを共有するところから始まる。
2 優しいまなざしを持つ
理解できないこと、うまくいかないことも優しいまなざしで対話を重ねていく。
合意する必要もなければ、共感できなくてもいい。違いをおもしろがる。
3 「納得感」の作り方を共有する
一人じゃできないこともみんなだとできるけど、みんなで決めることは難しい。
どちらも正解でどちらも正解じゃないことにどう向き合うのか。
4 なぜやるのかを問い続ける
私たちがマーケットの何に価値を見出し、期待し、マーケットを開催するのか。
生駒で暮らす喜びとなるマーケットを考え続けましょう。
メンバー紹介
次に、1分間ずつ自己紹介をしました。
海外協力青年隊としてモザンピークで過ごしたことがある人、百貨店の催事などで扱う商品の買い付けをしていた人、国内外問わずいろんなマーケットを訪れたことがある人、観光を学んでまちづくりに興味をもった大学生、子育て情報誌をつくっている人、鍼灸師として働いている人…。キャリアも年齢も多種多様で、参加のきっかけも人それぞれ。
「普段、焼き菓子や調味料をつくっているので、作り手側として何かできたらいいな」と出店を希望する人もいれば「マーケットが大好きなので、自分が楽しめるマーケットをつくりたい」「出店者と交渉したり、人と人をつないだりしたい」と運営してみたい人も。
「一人でも十分楽しく暮らしているけれど、みんなで何かできたらもっと毎日が楽しくなるだろうと思った」「このまちで友達がほしくて」「職場と家とを往復する毎日なので、地元ともっと関わらないと人生が楽しくなっていかないなと思った」と「つながり」を求める人が多かったのが印象的でした。
好きなマーケットを伝え合う
この日のメインは、自分の好きなマーケットを発表すること。マーケット部は「一人ひとりの経験や思いを共有する」ことから始まります。
「新しい発見があることが好き」「作家さんから、ストーリーを教えてもらえるので商品の価値があがることが魅力」だという意見には、「マーケットは対面販売。その魅力はストーリーやドラマを知れること。出店者には、ストーリーを話せるかどうかかが問われるということでもありますね」と鈴木さん。
「毎月あった地元・尾道のマーケットが好きです。イベントというより日常的に集まっておしゃべりをするための場所でした」「モノを買わなくても友達と会って話せることが好き」という意見には、「そこに行くだけで人と出会え、何気ないおしゃべりをするといった井戸端の習慣を取り戻したいですね」と山下さん。
「ベトナムのマーケットはお釣りがネギでした」というエピソードには会場から笑いがおきました。
鈴木さんが「傷がついている野菜を廃棄するという考え方ではなくて、お釣りに交換してしまうというのは素直な発想です」と言えば、山下さんも「人間は本来、社会的関係性のなかで働いてきました。数字や損得に換算してしまう方が、実は不自然なのかもしれませんね」と続けます。
「こだわりの10店舗ほどが集まる午前中限定のマルシェが好きだった」というエピソードには、「世間では大勢の人がやってきて、たくさん儲けることができるマーケットが成功だと語られるかもしれないけれど、実はまちには『用がないときにも出かけたくなる場』が必要かもしれません」という山下さんの提起には、「次の用をつくる場所であることも大切ですよね」と鈴木さんが応じました。
最後に、山下さんが「マーケット部の活動を通じて、日常の暮らしがアップデートされることに期待しています。部員の皆さんは、多様な経験を重ね、素敵な暮らし方をしている人が多いので、そのおすそわけの機会がマーケットという場になるといいですね」とエールを送り、若狭さんが「みんなで1つのマーケットをつくることが目標になってはいますが、そこから派生してこだわったマーケットをする人がいてもいいし、少人数でやってみる人がいてもいいと思います」と、一つの正解を出すのではなく多様な意見を許容し、共存することの大切さを確認しました。
今回はそれぞれの気持ちを言葉にしました。次回は一旦マーケットからは離れ、生駒での暮らしの日常を考えてから、「マーケットの基礎的な知識」をインプットする予定です。
写真撮影:いこまち宣伝部6期生 中村京子
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スタイリングウィーク2022「マーケットでまちを変える」
2023.09.06 UP