【記事追加】ガレージマーケットで住み開き。マイコレクションを公開して地域の人たちと交流!(いこまのすまいTOPICS)
住まいの一部を地域に開く「住み開き」。主に地域住民との交流を目的に開催されるイベントです。生駒市萩の台住宅地でも、2023年からその一つとしてガレージマーケットが開かれています。
自宅を開いている家庭の一つが、山口家です。
山口隆さん、賀子(よしこ)さん夫妻にお話をお聞きしました。
山口隆さん、賀子さん
生駒市萩の台在住。元地方公務員の隆さんと、元ピアノ教室講師の賀子さん。日々の楽しみの一つが、ショッピングモールで買い物をすること。
始めるコツは、自分の好きなものを地域に開くこと
山口隆さん、賀子さん夫妻は、萩の台の住宅販売が始まった1985年頃に萩の台に一軒家を購入し、2004年まで住んでいましたが、仕事の都合で大阪に引っ越しました。萩の台の家には賀子さんの母親が残り、住んでいたのです。
その母親が亡くなって空き家になったため、定年退職をした隆さんと賀子さんは「自然豊かな萩の台で余生を過ごしたい」と考えるように。2022年からリフォームを開始し、大阪と奈良・萩の台の二拠点生活を経て、2024年から再び萩の台の住人になりました。
「2023年、ガレージマーケットに2回参加しました。地域の子どもたちが参加するイベントにあわせて開催されると聞いて、子どもさんたちの喜ぶ顔が見たいなと思ったからです。少しでも地域のためになればとも考えました。新しいことに“いっちょかみ”するのが好きなんですよ」
ニコニコしながらそう話すのは、隆さん。賀子さんも「私たちは二人とも人とコミュニケーションをとるのが好きなんです。以前ここに住んでいた頃、自宅で子どもが対象のピアノ教室を開いていて、毎年クリスマス会を開いていました。ガレージマーケットのお誘いを受けたとき『萩の台でこれまでこういう催しがなかったのなら、お役に立てれば』と思ったんです」と話します。
初回はハロウィン、2回目はクリスマス時期に開催され、隆さんと賀子さんは、ガレージでくじ引きやフリーマーケットを開いたり、隆さんのコレクションを玄関先に展示したり、モクズガニの観察ブースもつくったりしました。
2回とも子どもがたくさん訪れ、山口家のガレージは大盛況に。フリーマーケットに出品していた未使用のバットとグローブに、ある男の子が飛びついて「これ、欲しかったやつ!」と喜んで買ったり、子どもたちが展示品のなかに化石を見つけて興奮したりしたそうです。
「親が国鉄に勤めていた影響や古物商の友人がいる関係で、吊り革やバスの停留所の看板などの鉄道グッズやバスグッズ、土器、化石、昭和のレトロな看板など古いものなどをたくさん集めています。趣味として集めていたコレクションですので、人に見ていただく機会は滅多になかったんですが、一部を公開することで、みなさんに見ていただける良い時間になりました。地域の人たちと昔の話ができて嬉しかったです」と、隆さん。
賀子さんにも嬉しい出来事がありました。ピアノ講師をしていたときの教え子が来てくれ、20年以上ぶりに再会できたそうです。「当時は子どもでしたけど、立派な大人になられていてね。『もしかして山口先生ですか?』と声をかけてもらって初めて気づいたんです。嬉しかったですね」と、賀子さん。
子どもからシニアまで楽しめる場。地域の人たちと交流も
2024年10月、3回目のガレージマーケットが開催されました。はじめは生駒市の企画として始まったイベントでしたが、元・萩の台住宅地自治会長の山下博史さんより「みんなが楽しんでいたので、今後は住民や自治会が企画や発信をして継続していきたいです」という話があり、地域の住民が積極的に準備をし、開催されました。
久しぶりに生駒市民になった隆さん、賀子さんも準備に励みました。これまでの内容に加えて今回新たに用意したのは、子ども向けのスーパーボールすくいと、二人のコレクションであるレコードの公開です。ほかにも、栃の実をカゴに入れて置き、「これは何の実?」と書いた紙を添えたり、叩くと金属音が鳴る岩石を置いたり、訪れた人を楽しませる工夫に満ちています。
くじ引きの仕掛けは、隆さんのお手製。ひもを引くと景品が入った袋が上がってきます。これは回数を重ねて構造を進化させたそう。「どのひもを引っ張ったらいいかなぁ」と悩んでいる子どもの姿を見て、「かわいい」と賀子さんが目を細めます。
「ショッピングモールに行って歩き回り、このイベントのための商品や景品を探して来るのが私の楽しみなんです。『今度これを使おう』ってね。だからこそ『これ何?』と興味を示してもらえると嬉しいです。もしかしたら、少しでも子どもの世界観に影響を与えられるかもしれませんし」と、隆さん。おもちゃや文具など、さまざまな景品に子どもたちから歓声が上がります。
隆さんは「同世代の方たちと、1970年の大阪万博など昔の話をするのも楽しいです」と言います。はつらつとしている隆さんを見て、賀子さんは「自分の好きなものを見ていただく機会なので、生き生きとしていますね。そのかわり、今家の中は(準備で)グチャグチャですけど」と笑います。
今後は「あまり家を出ない方との交流もできたら」
「ハロウィンの日って、何してはります?」と地域の方から声をかけられるシーンもありました。萩の台では子どもたちと地域のつながりが大事にされていて、子どもも大人も楽しめる企画がよく考案されています。
隆さんはそんな萩の台に「貢献したい」という思いから、萩の台駅発の電車に合わせて地域を周回しているグリーンスローモビリティ「はぎくる」の運転ボランティアをしています。
「住宅地って、近くに住んでいるのに、通りや丁目が違うと顔見知りではないことがありますよね。もっと仲間を増やしたいと思っているんです。少しでも地域を盛り上げて、若い人が増えて賑やかになることが将来の目標です」と、隆さん。
賀子さんも「以前住んでいた頃は、子どもが多くて、子どもの声が絶えず聞こえるくらい賑やかな地域でした。比べると今は減っていますけど、これからもっと賑やかになればいいですね」と話します。
「今後もガレージマーケットに参加したい」と話す二人に、どんなことをしたらおもしろそうか、聞いてみました。
「萩の台にはお年寄りが多く、あまり家を出ない方もいるそうです。そういう方たちとの交流もできればと思っています。来てもらえるように送迎をしたり、私たちが出張レコード屋としてどこかにうかがったりするのはどうですか?」と、隆さん。「気軽に出かけられるきっかけや工夫があるといいですよね。玄関先に長椅子を置いて、おしゃべりするだけでもいいと思うんです」と、賀子さん。
この地域での暮らしを積極的に楽しむ二人が、地域の笑顔を増やしていくかもしれません。
2025.01.06 UP